みんぱくと『ビーズでたどるホモ・サピエンス史』–台湾パイワン族のミリミリダンの話-

カルチャー・趣味

はじめに

どうも、パート薬剤師のギンです。

先日、国立民族学博物館(みんぱく)に行きました。各地域の展示を見ていてひとつ思う事がありました。そういえばビーズって生活に必須ではないのにどこの地域でも当たり前のように使っているなーと。気になることがあったらとりあえず本を読んでみよう!という事で【ビーズ 歴史 本】と検索してみたところ面白そうな本があったのでAmazonで購入して読んでみました。今回の本はこちら。

『ビーズでたどるホモ・サピエンス史』
ビーズは現生人類の最初のアートと呼ばれる。その素材や細工は地域や時代によって多種多様。富や威信、集団の象徴など社会的役割も担ってきた。本書では、ビーズの誕生した約十万年前から現在まで、地球全域をフィールドに、ビーズを軸にホモサピエンス史をたどる。カラー口絵16頁。
(Amazon説明文より)



色々な地域・時代におけるビーズの話を18章に分けて解説してくれています。そんな中でも「第15章 台湾原住民族の文化の多様性」を読んでパイワン族のミリミリダンについて興味を持ちましたので自分でも少し調べてみました。


パイワン族にとってガラスビーズ(トンボ玉)は剣・壺と並んで三種の神器とされるほど重要なものとなるそうです。

パイワン族とは

台湾の南部に居住してきた約九万人余りの2番目に大きな原住民族集団である。特徴としては首長・貴族・平民の三つに分けれられる階層社会である。パイワン族は長子であれば男性でも女性でも首長の地位を継承できる点も独特である。

首長や貴族はその地位や権威を示し、維持していく手段としての希少財の一つとしてガラスビーズを用います。

そんなビーズの中で波状に様々な色の模様が全体に入ったビーズは「ミリミリダン」と呼ばれ、最も高貴なビーズとされ首長層の構成員が持つことが許されていたそうです。

気になって調べてみると、それぞれの玉に込められた意味や伝説が面白かったので、今回はその中から特に私がグッときたものをピックアップして紹介します。

ミリミリダンに込められた意味と伝説

パイワン族のビーズには、一つ一つに固有の名前と物語があります。その由来がまた興味深いので、いくつか紹介していきたいと思います。

百歩蛇の玉:【事故・外敵からの守護】

「百歩蛇(ヒャッポダ)」という、噛まれたら百歩歩くうちに死ぬと言われる猛毒の蛇がモチーフです。

普通なら恐怖の対象ですが、伝説では違います。 かつて先祖が地上に降り立った時、襲いかかる獣から守ってくれたのがこの蛇だったとか。

月牙の玉【女性の誇り・尊厳】

ボコボコとした特徴的な立体的なデザイン。意味も非常に現代的です。

伝説によると、ある美しい女性が結婚するたびに、翌朝夫が死んでしまうという事件が続きました。 唯一生き残ったのは、彼女を「ただの美しい女」としてではなく、「一人の人間」として誠心誠意愛した男だけ。 結婚初夜、彼女の体から牙が生えてきて彼を襲おうとしましたが、彼を傷つけることなく抜け落ち、それがこのトンボ玉になったと言われています。 「中身を見ない男には牙を剥く」というメッセージ。 パイワン族は男女同権を常としていたことがよく分かる玉です。

太陽の涙の玉【永遠の想い】

在りし日のことを片時も忘れないといういわれがこめられた玉です。

昔、太陽が地上に近すぎて暑かった頃、暑さに耐えかねた人々が5つの粟を煮て、その蒸気で太陽を空高く押し上げました。その際、太陽が流した涙がこの玉になったと伝えられています。

現代のリューリー(瑠璃珠)

これらの伝統的な模様は、現代のパイワン族の工芸家たちによって「Ryuree(リューリー)」というアクセサリーとして受け継がれています。

デザインもよく、さらに込められた意味や願いもあって素敵なビーズだなと思ったのでいつかは手に入れてみたいです。

今後の研究テーマ

太陽の涙の玉について。なんで「5粒の粟」なんだろうと思って調べたのですが、あんまり分からずジェミ坊にも聞いてみました。

※参考資料に5つの粟(アワ)と訳された文章があるのですが、下に原文?の英語も併記されておりそれを翻訳するとchestnuts=栗(クリ)と出てきたので以下の文章は栗となっております。ちなみに日本に馴染みのあるマロンはフランス語らしいです。


Q.「5つの栗」ってどういう意味?

以下ジェミ坊
「5つの栗」がなぜ太陽を動かしたのか、そしてなぜ「5」という数字なのか。これには、パイワン族の古い生活習慣と、彼らの宇宙観が深く関わっています。歴史・文化的な背景から推測できる「3つの意味」を解説します。

蒸気(湯気)の「量」と「力」の象徴

この伝説の核心は「湯気が太陽を押し上げた」という点にあります。 パイワン族の伝承では、5つの栗(または粟などの穀物)を煮立てた際に出た「非常に力強く、大量の湯気」が、熱すぎる太陽を天高くへと押しやる物理的なエネルギーになったと解釈されています。 「5」という数字は、単なる1つや2つではない、社会や家族を維持するために必要な「十分な量」を象徴していると考えられます。

「家」と「神聖な火」への礼賛

パイワン族の伝統的な生活において、石造りの家の中で火を焚き、食べ物を煮る行為は、神聖な家族の営みです。

人知の勝利: 圧倒的な自然(太陽の熱)に対し、人間が「知恵(火と料理)」を使って対抗し、住みやすい環境を手に入れたという、人間の生活力への賛美が込められています。
栗の役割: 栗や粟は彼らにとっての主食であり、命を繋ぐ大切な糧です。最も大切なものを捧げた結果として、平和な空が手に入ったという構図です。

「五」という数字の完結性

多くの民族神話において、「5」は「全方向」や「完成」を意味することが多いです。

東西南北+中心: 5つの栗を煮ることで、世界のすべての方向を浄化し、秩序を整えたという世界観が反映されている可能性があります。
手の指の数: 最も身近な「数」としての5が、人々の祈りの総数を表しているという見方もできます。

Q.五という数字と全方向、完成について教えて

以下ジェミ坊
「5つの栗」の伝説や、数字の「5」が持つ神聖な意味についての根拠ですね。

この「5つの栗(または粟、芋)」が太陽を押し上げる伝説は、パイワン族だけでなく台湾原住民(ルカイ族やプユマ族など)に広く伝わる「射日神話(じゃじつしんわ)」の変奏曲として、人類学的にも非常に有名です。

「五」という数字が象徴する「全方向・完成」

神話学や民俗学において、数字の「5」が「完成・中心・全方位」を表す例は、世界中に存在します。

五行思想(東洋哲学) 木・火・土・金・水の5つの要素が循環することで、この世のすべてが成立しているという考え方です。 ・方位の完成: 四方(東西南北)に「中央」を加えることで、初めて世界が安定し、完成するとされています。

マヤ、アステカ神話(中南米) 彼らの宇宙観では、現在の世界は「第5の太陽」の時代であるとされています。4つの滅びた世界のあとに、5番目の太陽が生まれることでようやく世界の調和が取れたという、完成の象徴です。

仏教の「五大」 地・水・火・風・空の5つの要素が、宇宙を構成するすべての要素であるとする考え方です(五輪塔などもこれに基づいています)。

他にもある「五」と完成の物語

ギリシャ神話の「五つの時代」 詩人ヘシオドスは、人類の歴史を「黄金・白銀・青銅・英雄・鉄」の5つの時代に分けました。5番目の時代(鉄の時代)で、今の人類の形が完成したとされています。

ヒンドゥー教の「パンチャ・ブータ」 生命を構成する5つの聖なる要素。人間の指が5本であることも、これら宇宙の5つの要素を操るための必然であると語られることがあります。


以上ジェミ坊情報でした。裏は取ってないので話半分でお願いします。

射日神話と数字の五に関する話題は時間があるときに調べていきたいなと思いました。五に限らず数字は色々な意味があるとも聞くのでその辺りを調べてみるのも面白そうですね。

最後はちょっと別の話になりましたが、パイワン族の素敵なビーズのお話でした。日本で買えるところがあったらぜひ行ってみたいですね。

それでは。どうもよしなに。

参考資料

https://senjyuminzoku.com/?mode=f2#ryuree_kujaku
先住民族のとんぼ玉のご紹介

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